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キャリートレード/スワップ投資とミセス・ワタナベの関係性

キャリートレード/スワップ投資とミセス・ワタナベの関係性

キャリートレードの話になると、ミセス・ワタナベという名前がよくでてきます。ミセス・ワタナベといっても、渡辺夫人という特定の女性投資家がいたというわけではなく、世界的に豊かな資産をもつ日本の個人投資家たち一般を指す俗称で、海外メディアによって使われるようになりました。外国人にとってのメジャーな日本の名字は''ワタナベ''だったようです。''キモノ・トレーダー''という言葉も同じ意味として使われます。

2007年ころから、東京のインターバンク市場にて、為替相場の方向性が、それらしい大きな要因がないにもかかわらず昼をはさんで午後になると、反対方向へ振れる現象がしばしば見られるようになりました。こうした不思議な現象の原因を探ってみたところ、どうやら日本の主婦やサラリーマンなどの個人FX投資家が、昼休みの空いた時間を利用して一斉に円売り・ドル買いの注文をだしていたことが判明したのです。それは相場を左右させるほどの大きな動きで、海外の経済紙なども''Mrs.Watanabe''と称して注目するようになりました。


ミセス・ワタナベのトレードスタイルは円キャリートレードと呼ばれるものです。
キャリートレードとは、金利の低い通貨を借り入れて金利の高い通貨で運用し、その金利差による利鞘で稼ぐ手法のこと、つまりはスワップ狙いのFX投資です。
周知のとおり日本は世界的にみても超低金利政策です。これを利用して、低金利の日本円を借り入れ、高金利の外貨を購入し、その金利差をいただこうという円キャリートレードが流行しました。

日本の個人投資家の規模は侮れないものがありました。金利の高いオーストラリア、ニュージーランドに人気が集中し、その金額たるやすさまじく、豪ドル、NZドルが瞬く間に高騰するほどで、そして、とうとうNZ中央銀行に為替介入をさせるまでにいたったのです。

しかしミセス・ワタナベの勢いも長くは続きませんでした。
ミセス・ワタナベを狙うミセス・ワタナベ狩りという動きがありました。こうした日本の個人投資家の存在を疎ましく思っていた海外投機筋が、相場の取引が薄くなり、少ない注文で価格変動を起こしやすい時間帯を見計らって、ミセス・ワタナベのストップロスを狙ったのです。

また、世界規模の金融危機がトドメを差しました。
2007年、アメリカに端を発したサブプライムローン問題や世界的な金融不安により、ドルの信用は失墜し急激な円高がはじまりました。これにより多くのFX投資家が多大な損失を被ることとなり、ミセス・ワタナベも例外ではありませんでした。

ミセス・ワタナベという存在には、学ぶべきことがたくさんあります。スワップ金利狙いのFX投資におけるリスク管理という点で、いまでもそこから教訓を得ているトレーダーも多いようです。

ミセス・ワタナベキャリートレードは馬鹿にされる?

現状キャリートレードをメインに行っているのは、収益源としてヘッジファンドが行っているものだけであろう。いわゆるミセス・ワタナベ手法である。しかし、この方法を個人の投資家が行っていると周りからバカにされることが良くある。それは、単純に低金利な通貨から高金利な通貨を買うだけで、利益を得る初心者的なトレード手法ということもあるのだが、それには上述した通り、サブプライムローン等の金融不安が原因でもあります。

この金融不安によって、個人の投資家いわゆるミセス・ワタナベが大損失を被ったからなのです。大幅に通貨が下落したことにより、大きなレバレッジをかけていた人たちが強制ロスカットもしくはロスカットを余儀なくされ原資を大きく減らす、最悪の場合はすべて無くなるという事態になったからです。

再び注目を浴びたミセス・ワタナベ

上記に記載の通り、サブプライムローンから発端となった金融不安定のおかげで、円高傾向になりミセス・ワタナベのトレード手法は廃れていきました。しかし、皆様の記憶にも新しい安倍首相が就任した時から始まった「アベノミクス相場」で状況は一変しました。

今まで円高に推移していた相場が、がらりと変わり円安に変わってたのがそのタイミングです。それにプラスされ、日本銀行総裁の黒田総裁による金融緩和がさらに拍車をかけ円安を急加速させました。その結果、ミセス・ワタナベのトレード手法で大きく利益を上げることができたのです。一時期は、125円を突破するなど円安へのトレンドがとてつもなく顕著でした。

しかし、スワップポイント狙いのミセス・ワタナベのトレード方法に陰りが見えたのが、こちらも記憶に新しいイギリスの国民投票における大混乱です。下馬評では、EUに残留することが濃厚となっていたのですがそれが一転、離脱に大きく票が傾き、結果イギリスはEUを離脱する結果となったのです。

その影響はもちろん為替相場にも大きな爪痕を残しました。結果を受けて日本円は大きく円高に傾き、あっという間にロスカット、というような人たちを大量に作り、強制ロスカットの嵐となりました。それまでは、一時125円を突破して130円ももう目の前まで迫ってた、イケイケの円安でしたがこの結果を受けて、スワップを狙ったミセス・ワタナベは大きく損失を残す形となりました。

2018年のミセス・ワタナベのトレードについて

2018年の為替の主役は何といってもトランプ新大統領の動き次第によるでしょう。ミセス・ワタナベはトランプ新大統領が決まった選挙の日から動き出しておりました。相場に関してはそれまでは、円高傾向に動いていたものが、トランプ新大統領が決まった直後に警戒感が薄れ、円安に動き出したのです。

ここでミセス・ワタナベは得意の逆張りが見事に決まり、一時期は101円前半まで落ち込んでいたドル円が、107円を突破するまでに進んだのです。どちらにしても、今後円安が進行するのか、もしくは一定の歯止めが効いて、再び円高に戻るのかはトランプ新大統領の言葉や行動次第であることには変わりはない。しかし、その水面下にはミセスワタナベと投機筋との心理戦があることも確かである。